「川本法」とは、生物組織の機能(働き)を解明するために 川本忠文博士(元鶴見大学歯学部RI研究センター講師)によって40年の年月をかけて独学で開発実用化された生命科学の研究に最適な切片(夢の切片)を作製するための方法の事です。「 川本法」で作製された切片は、形態を正確に保ち、しかも組織内情報を正確に保持していることから、形態学的研究、組織化学的研究、遺伝子組織化学的研究、生化学的研究等(Proteomics, Transcriptomics)に利用でき、従来の切片に比べて圧倒的に多くの研究に利用できます。      (詳しくはミクロスコピアを参照)

  従来の方法で切片を作製すると、固定、脱灰、脱水、包埋等の切片作製過程で細胞から多くの情報が失わる欠点がありました。その問題を解決するために組織を凍結して切片を作製する凍結切片作製法があります。しかし、新鮮試料から形が正確に保たれた切片を作製するには熟練が必要で、骨、軟骨、皮膚、眼球、植物、昆虫等の試料からは凍結切片を作製する事は非常に困難、あるいは不可能な状態にありました。生体機能の解明には、形態や特定物質の分布、酵素の分布、遺伝子発現の分布を明らかにするとともに水溶性状態の物質の組織内分布を明らかにすることも重要ですが、従来の方法では水溶性物質の研究をする事は困難でした。

  「川本法」は、それらの問題を全て解決し、初心者でも熟練者と同様に生体内成分が完全に保たれ、しかも形が正確に保持された切片を作製することができるようにしました。その方法は、従来の方法で不可能とされていた骨、軟骨、皮膚、眼球、植物、昆虫等の試料にも適用できます。
このように、「川本法」は従来の方法で不可能とされていた研究が可能になり、医学、歯学、薬学、獣医学、農学、水産、食品、昆虫等の研究に新しい扉を開けました。

  「川本法」で作製された切片は、組織学、組織化学、酵素組織化学、免疫組織化学、遺伝子組織化学、オートラジオグラフィ等、従来の切片を用いた研究全てに利用することができます。更に、近年盛んに行われている分子生物化学では、「川本法」で作製された切片が生体内情報を正確に保っていることから、「川本法」で作製された切片からレーザー光線(LMD)により特定細胞を切り出して遺伝子解析を行うことに利用されてきています。 近年実用化された特定分子量の組織内分布の観察や発現遺伝子の組織内分布の研究にも利用できるようになってきています。


 
 研究以外では、手術中の病理診断に不可欠な術中迅速組織診断用凍結切片作製において、従来の方法では乳腺、センチネルリンパ節等から形態が完全に保たれた凍結切片を作製するにはかなりの熟練が必要です。しかし、「川本法」では初心者でも容易に完全な診断用凍結切片を作製できる事ができる事から病理診断においても有力なツールとなり多くの病院で利用されています。


  食品分野においても同様に「川本法」は、食品中の特定物質の分布状態、製造した食品の構造の観察にも有力なツールとして活躍してきています。

   このように「川本法」は、多くの分野の研究で重要な役割を果たすようになってきており、既に世界の約1000箇所の研究室に導入されて成果を出し、世界的に高い評価を得てきています。
 

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切片とは?

切片とは、生命科学の研究に利用される動物組織や植物組織から非常に薄く切ったもので、組織の形や組織の働きを明らかにするために使用され、生命科学の研究には必須の物です。研究では、細胞の断面を観察するために数ミクロン(1ミクロンは1000分の1mm)で切ったものが使用されます
川  本  法
[ Kawamoto's Film Method ]
SECTION-LAB Co. Ltd.
改訂:2023年 09月 13日